SSD換装 & Windows XP向けSSD用設定
工人舎 SA5にSSD
工人舎のモバイルノートPC、SA5SX12AはGeode LXという低消費電力なCPUを搭載しており、小型ながらファンレス構造で静音なマシンとしてとても気に入っています (CPUの性能は超非力ですが)。CPUファンがないということで、唯一の騒音源がHDDなわけですが、非常に残念なことに私のSA5はハズレなのか何なのか、HDDから発生するサーノイズが酷く、それが非常に気になっていました。折りしも友人の会話の中でSolid State Drive (SSD) の話題が上り、そろそろ自分もSSDを試してみようということで、SA5のHDDをSSDに換装しました。
さて、SA5のHDDのインターフェースは一昔前のパラレルのIDEです。HDDのみならずSSDにおいてもインターフェースの主流はSATAであり、IDEタイプのSSDは性能も低く値段も比較的高めです。そこに文句を言っても始まらないのでIDEタイプの中で探します。どうせSA5ではCPUで性能が律速されるので余り高性能なSSDを選んでも効果は低いと考え、CFDのCSSD-PM32NJに決めました。
SA5の分解は偉大な先人のリポートを参考にし、特に問題もなく換装することができました。
Windows XPのインストール
実はこのWindows XPのインストールが一番苦労しました。SA5はUSBデバイスからのブートに対応はしているのですが、かなり相性の問題があるらしく、私の持っている外付けDVDドライブのDVM-RXG18U2ではCD-ROMが起動しませんでした。ですので次にPXEブートによるインストールを試みました。ここやここを参考にPXEブートに必要な環境を構築してインストールしようとしましたが、Windows XPインストールの最初のドライバ読み込みから先に進むときにフリーズしてしまい、うまくいきませんでした。
最終的に、別のPCにSSDをつないで、そこにWindowsのインストールイメージを転送し、SSDからインストーラを移動するという方法をとりました。USB-2.5インチIDE変換で別のWindows PCにSSDをつなぎ、Windwos XPのCDをドライブにセットし、次にようにコマンドを実行します (ここではドライブレターE:が別PCのCD-ROMドライブ、H:がSSDです)。
>E:
>i386\winnt32.exe /noreboot /makelocalsource /syspart:H: /tempdrive:H:
>i386\winnt32.exe /noreboot /makelocalsource /syspart:H: /tempdrive:H:
はじめのコマンドでドライブをCD-ROMに変更し、次のコマンドでCD-ROMにあるwinnt32を使ってインストールイメージをSSDに転送しています。このコマンドを実行するとWindowsのセットアップが開きますので、新規にインストールを選択し、プロダクトキーを入力、その後の詳細オプションで「セットアップ中にインストールドライブ文字とパーティションを選択する」のチェックをはずします。
インストールイメージの転送が終わると、H:\$Win_nt$.~bt\Migrate.infを削除します (すべてのファイルを表示にしないと見えません)。
あとはSSDをSA5に戻し、SSDから起動すると、Windowsのインストールが始まります。
Windows XP向けSSDの設定
SSDはHDDと違いランダムアクセスが速く、また書き込み可能回数が比較的少ないという特徴を持つため、HDDを前提とした設定では最適とは言えません。すでに多くの人がSSDに最適なWindowsの設定をまとめていますが、怪しい情報があったりするので、ここに改めてまとめておきます。
- ページングファイル (仮想メモリ) を切る
[マイコンピュータを右クリック]->[プロパティ]->[詳細設定]->[パフォーマンス]->[詳細設定]->[仮想メモリ]
ページングファイルは書き換えが非常に多いため、SSDの場合は使用しません (デスクトップマシン等で別HDDがあるならそちらに移す)。十分大容量のメモリを搭載していることが前提です (SA5の場合は最大である1GB)。 - システムの復元を切る
ただでさえ容量の少ないSSDに、システムの復元のためのスペースを取られるのはナンセンスです。また、そこそこ書き換えが発生するため、SSDの寿命には悪影響です。 - 休止状態は使用しない
[コントロールパネル]->[電源オプション]->[休止状態]
ディスクスペース節約のため。SSDの恩恵で起動が早くなるため、わざわざ休止状態を使う意味も少ないです。 - 自動デフラグの停止
レジストリの以下のキーを編集。- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\OptimalLayoutにEnableAutoLayoutという名前でDWORD値を作成。値を0にする。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Dfrg\BootOptimizeFunctionにあるEnable (文字列値) をNにする。
ところがWindows XP以降では、アイドル時や起動時に自動でデフラグをする設定のため、それを無効にします。 - HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\OptimalLayoutにEnableAutoLayoutという名前でDWORD値を作成。値を0にする。
- アクセス日時を記録しない
レジストリの以下のキーを編集。- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystemにNtfsDisableLastAccessUpdateという名前でDWORD値を作成。値を1にする。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystemにNtfsDisableLastAccessUpdateという名前でDWORD値を作成。値を1にする。
- 8.3文字ファイル名の自動生成をしない
レジストリの以下のキーを編集。- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystemにあるNtfsDisable8dot3NameCreation (DWORD値)の値を1にする。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystemにあるNtfsDisable8dot3NameCreation (DWORD値)の値を1にする。
- 「ディスクの書込みキャッシュを有効にする」のチェックは入れたまま
[マイコンピュータを右クリック]->[プロパティ]->[ハードウェア]->[デバイスマネージャー]->[ディスクドライブ]->[(SSDのデバイス)]->[ポリシー]
なぜかこのチェックをはずすと書いている人が多いが、SSDは書き込み速度は速いわけではないので、ライトバックキャッシュはあった方が良いはず。 - プリフェッチの無効
レジストリの以下のキーを編集。- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Memory Management\PrefetchParametersにあるEnablePrefetcher (DWORD値)の値を0にする。
ちなみに1だとアプリケーションのプリフェッチのみ有効、2だとシステム起動のプリフェッチのみ有効、3だと両方とも有効。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Memory Management\PrefetchParametersにあるEnablePrefetcher (DWORD値)の値を0にする。
- RAMディスクを作成し、テンポラリファイルをそこに保存する。
- RAMディスクの作成にはGavotte Ramdiskを使用。
- [マイコンピュータを右クリック]->[プロパティ]->[詳細設定]->[環境変数]で、ユーザおよびシステムの環境変数のTEMP, TMPをRAMディスク上のフォルダに変更。
- [コントロールパネル]->[インターネットオプション]->[全般]->[閲覧の履歴の「設定」]からインターネット一時ファイルの保存フォルダを変更。
そのため、アプリケーションのインストール時など、大きなテンポラリスペースが必要になりそうなことが予めわかっている場合は、一時的に環境変数を元に戻します。また、Internet Explorerはファイルのダウンロードの際、まずはインターネット一時ファイルとしてダウンロードファイルを保存するため、大きなサイズのファイルをダウンロードする時はIrvineなどのダウンロード支援ソフトを使用します。 - RAMディスクの作成にはGavotte Ramdiskを使用。
感想
起動は明らかに早くなりました。CPUの性能がかなり低いため「爆速」とまではいきませんが、それでも「常にサスペンドor休止状態にしてできる限り起動を避ける」ということを考えなくても済みそうです。
また、ゼロスピンドルになり、完全に「無音」マシンとなりました。これは最高ですね。
ほかにもSSDなので起動中も振動を気にせず持ち運んでもよいなどのメリットがあります (モバイルマシンにとってはこれも重要)。約10,000円のコストと120GBから32GBへの容量の減少を差し引いても、満足度は非常に高いです。